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私のお気に入り
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猫が本箱をつくる
◇◇◇猫の写真集・エッセイ・小説・雑学本などの猫本読書案内◇◇◇
目次
写真集 |
『猫の手』……板東寛司 『ポストカードブック 岩合光昭の猫』……岩合光昭 |
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写真集+エッセイ |
『ねこの肉球 完全版』……板東寛司/荒川千尋 『猫の宇宙 —向島からブータンまで 』……赤瀬川原平 『ニッポンの猫』……岩合光昭 『海ちゃん—ある猫の物語』……岩合光昭・岩合日出子 『ママになったネコの海ちゃん』……岩合日出子・岩合光昭 『愛しのチロ』……荒木経惟 |
写真集+掌編小説 |
『民子』……浅田次郎 |
画集 |
『ニャーンズ・コレクション』……赤瀬川原平 『名画にしのびこんだ猫』……マイケル・パトリック |
猫が前脚の先を内側に折り曲げて胸の下に入れて丸くなる姿勢を
「香箱(こうばこ)を作る」「香箱を組む」「箱座り」と言います。
人間を信頼してぬくぬくと安心しているイエネコ独特の座り方です。
この座り方は危険が迫ったときにすぐに動けないので、野生の動物はやりません。
ライオンなどは前脚をそろえて前に出します。
うちは生猫はいませんが、本箱にはけっこう猫本がたまっています。
写真集、エッセイ、雑学本、読書案内などいろいろあります。
その中からお気に入りの猫本をご紹介していきます。
写真集
『猫の手』
著者:板東寛司(写真) 発行:ネスコ/発売:文藝春秋 初版刊行日:1998年12月 サイズ:B6判ハードカバー単行本/カラー 本文:64ページ |
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♪猫の手の写真を集めたかわいい写真集。
やわらかそうな毛皮やピンク色したぷにぷにの肉球を見ると、梶井基次郎の短編小説「愛撫」を思い出します。さわったら気持ちよさそうです。
巻末に登場した猫チャンの全顔写真付き。
板東寛司(ばんどう・かんじ)さんは猫専門のカメラマン(キャットグラファー)。猫の写真集や猫グッズをたくさん作っています。
板東さんの個人事務所「風呂猫スタジオ」のサイトはこちら。
http://www.furoneko.com/
『ポストカードブック 岩合光昭の猫 − Catch Nice Cats』
著者:岩合光昭(写真) 発行:日本出版社 初版刊行日:2004年4月 サイズ:文庫判/カラー |
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♪動物写真家の岩合光昭さんの撮った猫の写真を集めた文庫本サイズのポストカード集。16枚入り。
♪撮影場所は日本各地です。写真裏面に地名入り。『ニッポンの猫』のように外で遊んでいる猫を撮った写真のほか、スタジオ内で撮ったお澄まし写真が数枚混じっています。
雪の中できりっと何かを見ている猫。
気持ちよさそうに毛づくろいする猫。
飛び上がる猫。
あくびをする猫。
いろいろな表情の猫が見られます。
個人的お気に入りは、香箱を作り気持ちよさそうに目を閉じている佐渡猫です。
写真集+エッセイ
『ねこの肉球 完全版』
著者:板東寛司(写真)/荒川千尋(文) 出版社:文藝春秋〔文春文庫PLUS〕 初版刊行日:2003年9月 サイズ:文庫判/カラー 本文:176ページ |
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♪猫写真家の板東寛司さん撮影の猫の肉球写真120点と、猫エッセイストの荒川千尋さんが書いた肉球エッセイ30編を収録した、猫の肉球ファンにたまらない1冊です。
文庫判の写真集は写真が小さくなったりして見づらいことがありますが、この本は見事にかわいらしくレイアウトされています。
肉球エッセイはかわいらしい猫の肉球のぷにぷに感が伝わってきて、読んでいて気持ちよくなります。
「肉球占い」では数多の猫の肉球データを分類し、その猫の性格診断をします。さらに、一日の最初に出会った猫の肉球で、あなたのその日の運勢も占います。また、チビ猫、マイケル、ハロー・キティ、ヒデヨシなどのマンガに出てくる有名猫の肉球を考察します。
『猫の宇宙 —向島からブータンまで 』
著者:赤瀬川原平(写真・文) 出版社:中央公論新社〔中公文庫〕 初版刊行日:2001年4月 サイズ:文庫判/カラー 本文:127ページ |
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『超芸術トマソン』 『路上観察学入門』などで知られる芸術家・作家の赤瀬川原平さんが撮った猫の写真を集めて、猫にまつわるエッセイをつけた本です。巻末に猫の写真のポストカード4枚付き。
路上観察の途中で撮った生猫の写真と、猫の置物を街角に置いて撮った写真があります。カラー写真にそれぞれタイトルと短い説明文が付いて、章毎に4ページのエッセイが数本はさんであります。
路上観察の写真は東京の住宅街中心ですが、途中でブータン旅行の写真が入っています。だからサブタイトルが「向島からブータンまで」なのです。
写真も文章もひねっていて、普通の目線では気づかない街歩きの楽しみ方を教えてくれます。
『ニッポンの猫』
『ニッポンの猫』 大判写真集+エッセイ 著者:岩合光昭(写真・文) 出版社:新潮社 初版刊行日:2000年3月 サイズ:A4判変型(タテ21×ヨコ25.5cm)ソフトカバー/カラー 本文:79ページ |
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『ニッポンの猫』 文庫判写真集+エッセイ 著者:岩合光昭(写真・文) 出版社:新潮社〔新潮文庫〕 初版刊行日:2003年7月 サイズ:文庫判/カラー 本文:162ページ |
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動物写真家・岩合光昭(いわごう・みつあき)さんが、北海道から沖縄まで日本各地を旅して撮影した猫の写真集。
猫たちがすごく居心地よさそうに寝そべったり歩いたりしています。
猫だけでなく、猫が暮らす古い町並みの風景に、ひなびた風情があります。
エッセイでは、地域の人たちの猫を見守る愛情が伝わってきます。
新潮社の雑誌『SINRA』連載企画の「ニッポンの猫」のうち、1999年4月号から2000年3月号までを再編集してまとめたもの。
風景の中で猫が小さく写っている写真もあるので、写真を堪能するなら大判単行本がおすすめですが、文庫判も巻末のおまけが捨てがたいです。
文庫判では巻末に小林まことさんのマンガ『What's Michael?』9巻め収録の1編「セッション?」をカラーで再録。天才動物写真家・岩合光明(いわごうみつ・あきら)が街角でマイケルをモデルに撮影するお話。マイケルの天才モデルっぷりが笑えます。猫がこれだけリクエストに応えてポーズをとってくれるなら、動物カメラマンは楽でしょうね。
『海ちゃん—ある猫の物語』
著者:岩合光昭(写真)/岩合 日出子(文) 出版社:新潮社〔新潮文庫〕 初版刊行日:1996年10月 サイズ:文庫判/カラー 本文:174ページ |
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♪動物写真家の岩合光昭さんと日出子さん夫妻がもらってきたかわいい子猫の成長記録です。光昭さんが写真、日出子さんが文章担当です。
猫の海(カイ)ちゃんが生まれたのが1976年というので、もう30年も昔の写真から始まります。
写真もコメントも、海ちゃんに対する愛情と、最後の別れを予感させる寂しさがにじんでいます。
『ママになったネコの海ちゃん』
著者:岩合日出子(文)/岩合光昭(写真) 出版社:ポプラ社〔私の生き方文庫〕 初版刊行日:2003年4月 サイズ:新書サイズ 本文:226ページ |
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『海ちゃん—ある猫の物語』 と同じ猫のことを書いた本です。
こちらは文章がメインで、海ちゃんをひきとったいきさつや、写真の撮影した状況、岩合さん夫妻の心の動きなど詳しく書かれています。
海外の野生動物を撮っていた光昭さんが、日本のネコの写真にのめりこんでいきました。そのうちにネコの「きもち」を写真にするために自分たちでネコを飼うことにしました。そうして飼い始めたのが海ちゃんでした。
撮影のため雪の日にわざわざ公園に連れて行かれたりネコ迷惑ながら、ネコらしくないネコは狭いアパートで上手く暮らしていました。
しかし、夫妻に子どもができ、海ちゃんは日出子さんの実家に預けられることになりました。他のネコと交流する環境に変わり、海ちゃんはネコらしいネコになっていき、子ネコから立派なお母さんネコに成長しました。
ネコの「きもち」を観察した記録は、海ちゃんによせる人間の「きもち」のうつりゆきの記録でもあります。
『愛しのチロ』
著者:荒木経惟(写真・文) 出版社:平凡社〔平凡社ライブラリーoffシリーズ〕 初版刊行日:2002年12月 サイズ:新書サイズハードカバー 本文:112ページ横書き |
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アラーキーこと写真家の荒木経惟(あらき・のぶよし)氏が愛猫のチロ(♀)の日常生活を撮った写真集。
日付の入るコンパクトカメラで撮ったモノクロ写真を大量に載せています。巻末に1枚、カラー写真のポストカード付き。
気ままにアパートの室内や屋外を悠々と歩く姿、大股開きのあられもない姿、シャワーシーン、アラーキーや陽子さんに甘える媚態、丸くなって眠る姿、雀やヤモリをバリバリ喰らう野性のハンターの勇姿。一枚一枚に愛しさがにじみ出ています。
アラーキー氏自身の顔も写っているので、他の人に撮ってもらった写真もあるようです。
その写真の間にアラーキーの手書き文字で、チロちゃんにメロメロな駄々漏れの愛情を書き綴っています。
しかし終わりの方では、陽子さんが病気で入院した不安と家に居ない寂しさが綴られています。
単行本は1990年2月平凡社より刊行。
この写真集の刊行をひかえた1990年1月27日、荒木氏は最愛の妻、陽子さんを子宮筋腫で亡くしました。
写真集+掌編小説
『民子』
著者:浅田次郎(小説) 出版社:角川書店 初版刊行日:2001年9月 サイズ:たて20×よこ18.5cm単行本/カラー 本文:60ページ |
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♪マルハペットフード株式会社の創立十周年記念につくられたCM『民子』のために撮り下ろされた写真を編集した写真集です。CMが放映されたのは2000年9月から2001年3月まで。 「民子が忘れられない」という男性の朗読(ナレーター:小島康志)が印象的で、話題になったCMなので覚えていらっしゃる方も多いと思います。
原作はネコ好きで知られる作家・浅田次郎氏。
CMスタッフが苦労をして原作執筆を依頼し、半年以上かかって出来上がった原稿は3本ありました。1本が原稿用紙1枚に収まるたいへん短い掌編小説ですが、いずれ劣らぬ傑作です。ゆっくり声に出して味わって読みたい日本語です。セピア色の写真がセンチメンタリズムをきわだたせます。
CMに採用された「民子」は、文章の中では「猫」とは一言も言っていません。CMの映像がなければ、むしろ人間の女性ととらえるでしょう。しかしあのCMで朗読と映像が重なると、人間の女性に負けず劣らない猫の愛情深さが胸に迫ります。
「民子」のほか、おしくも映像化されなかった「ポスト」「キャラとトモコ」の原稿も収録されています。
画集
『ニャーンズ・コレクション』
著者:赤瀬川原平 出版社:小学館 初版刊行日:1999年12月 サイズ:たて23×よこ16cmハードカバー/カラー 本文:72ページ |
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泰西名画(西洋絵画)の中から猫が描かれたものを集めた個人コレクション「ニャーンズ・コレクション」を所有する”木天蓼(またたび)美術館”のカタログ、という形式の画集です。収録作品が世界各国の美術館に分散しているのは、コレクションを貸し出しているからだそうです。カタログ解説は木天蓼美術館館長の赤瀬川原平氏。
泰西猫名画「ニャーンズ・コレクション」というのはジョークですが、ちゃんともともと猫が描かれた絵を集めています。
猫が主役の絵あり、猫が隅っこに小さく潜んでいる絵あり。30点の絵の中には、日本人画家もいます。
熊谷守一(くまがい・もりかず)の、猫の触りごこちが伝わる絵が好きです。愛知県美術館で熊谷の作品をいくつか見ましたが、ごつごつした骨とその上の薄い皮膚を絵に写し取るとはすごい才能だと尊敬します。
『名画にしのびこんだ猫』
著者:マイケル・パトリック/訳:柳瀬 尚紀 出版社:河出書房新社 初版刊行日:1999年8月 サイズ:タテ15×ヨコ15cmハードカバー/カラー 本文:67ページ |
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英米で大人気の、泰西名画傑作パロディー集のオールカラーミニ画集。
ルネサンス期の宗教画から20世紀の現代アートまで、ヨーロッパやアメリカの有名絵画に猫の姿をもぐりこませています。
赤瀬川原平氏の『ニャーンズ・コレクション』は元々猫が描かれている絵を集めていますが、こちらは元は猫が描かれていなかった名画に猫を描き加えています。
ボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』のヴィーナスが猫になっていたり、ムンクの『叫び』の人が猫に囲まれていたり、ゴッホの『ひまわり』のひまわり花の間に黄色い猫が隠れていたり。
作品に付された解説(柳瀬尚紀先生訳)も、真面目なふりして笑わせてくれます。
[2007/03/14]
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