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■日本語の人称代名詞>一人称

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一人称(自称)

話し手自身を指す代名詞。第一人称。自称

わたくし
(私)
話し手自身を指す語。現代語としては、目上の人に対して、また改まった物言いをするのに使う。
わたし
(私)
(ワタクシの約)
話し手自身を指す語。「わたくし」よりくだけた言い方。
あたし
(私)
(ワタシの転)
一人称のくだけた言い方で、主に女性が用いる口語。
あたい
(私)
(アタシの転)
下町や花柳界などの婦女子または小児の使う口語一人称。
あっし
(私)
(アタシの転)
口語一人称。主に職人が用いる。
わし
(儂・私・俺)
(ワタシの約)
近世、主として女性が親しい相手に対して用いた一人称。
現在では年輩の男性が、同輩または目下に対して用いる。

(我・吾)
最も古い日本語の一人称。わたし。われ。あ。おのれ。

(我・吾)
古い日本語の一人称。われ。私。
同義の「わ」に比して用例は少なく、多く「あが(私の、自分の)」の形で、相手に親密感を持つ場合に使う。

(己・汝)
古い日本語の一人称。自分。おのれ。
われ
(我・吾)
古くから自分自身を指す語。本来は一人称。中世以後は二人称としても使う。
あれ。おのれ(己)。わたくし(私)。
おれ
(俺・己・乃公)
(「ワレ」または「オノレ」の転)
現代では主として男が、同輩または目下の者に対して用いる、荒っぽい言い方の一人称。
もとは男女ともに、また目上にも目下にも用いた。
おいら
(俺等・己等)
(「オレラ」または「オノレラ」の転)
一人称「おれ(たち)」の意のくだけた言い方。主に男性が用いる。
ぼく
(僕)
男子が自分自身を指す語。
もとは、心情的にはあなたの僕(しもべ)に過ぎない私という、へり下った言い方。
明治期から、初め書生言葉として、話し言葉で使われるようになった。
今はおもに成人前の男性が同等以下の相手に対して使う、砕けた言い回しの自称。
『毎日の言葉』柳田国男〈新潮社文庫〉所収「ボクとワタクシ」参照
わらわ
(妾・私)
(童(わらわ/子ども)のような不束者(ふつつかもの)の意で、女性の謙称)
武家時代身分の有る女性、特に武家の子女がへりくだって使う自称。
わたし。わたくし。
まろ
(麻呂・麿)
主として平安時代以降、身分の上下・男女を通じて使われた一人称。われ。わたくし。

(余・予)
主として漢文風の文章に使う、自分自身を指す語。
わたし。われ。
※「余」は「餘」の略字ではない。
わがはい
(我輩・吾輩)
男性が自分自身を指す語。男子が自分のことを一人前の存在として言う言葉。
現在では尊大な自称として用いる。
われ。私。
せっしゃ
(拙者)
主に近世、ある地位にある男性(武士・医者など)が用いた一人称。
本来は自分をへりくだっていう語であるが、尊大な態度で用いることもある。
みども
(身共)
主として武士階級で、同輩または目下に対して改まった感じで用いた一人称、または一人称複数形。われ。われら。
それがし
(某)
わたくし。なにがし。男性がへりくだっていう一人称。(もとは不定称。名の知れない人のこと、誰か)
なにがし
(某・何某)
わたくし。それがし。拙者。男性がへりくだって用いる一人称。
やつがれ
(僕)
(ヤツコアレ(奴我)の約。古くは清音)
自分の謙称。上代は男女ともに用いた。うぬ(己)。
しょうせい
(小生)
主に手紙で、男子が自分を指して使う謙称。目上の人に対しては使わない。わたくし。
ぐせい
(愚生)
手紙などで、男子が自分を指す謙称。小生。
じぶん
(自分)
話し手自身を指す言葉。昔の軍人や警官が用いた堅苦しい言い回し。
わたくし。われ。
ふしょう
(不肖)
自分の謙称。「親または師匠に似ず劣っている」と自分をへりくだって言う語。
とうほう
(当方)
一人称。組織・団体の意味が強い。
こちら。わが方。自分の方。私ども。
こち
(此方)
「ち」は方角の意。自分に近いほう。こちら。わたし。われ。
こっち
(此方)
(コチの促音化)
こちら。この方。転じて、一人称にも用いる。
こちら
(此方)
「こっち」よりやや丁寧な一人称、または一人称複数形。わたくしども。われわれ。こっち。
こちとら
(此方人等)
一人称複数形「自分たち」の意の口頭語的表現。おれたち。われわれ。自分ら。
単なる一人称としても用いられる。自分。おれ。
うち
(内)
関西方言で、多く女性や子供が使う一人称。自分。わたし。

《特殊な職業の一人称・自称》
ちん
(朕)
天子・帝王・天皇の自称。
古く中国では一般に「われ」の意に用いたが、秦の始皇帝から天子に限定して自称するようになった。
ぐそう
(愚僧)
僧の謙称。悟りを開かぬ愚かな僧の意。
せっそう
(拙僧)
僧が自分自身をいう謙称。愚僧。
「拙」は「才能の乏しい」意で、自分の謙称。
ほんかん
(本官)
官職にあるものの自称。官吏(かんり/役人)としての私。警察官などが用いる。
ほんしょく
(本職)
官職にあるものの自称。官吏(かんり/役人)としての私。本官。
しょうかん
(小官)
官吏(かんり/役人)の謙称。地位の低い官吏の意。

参考文献:『広辞苑 第五版』『新明解国語辞典 第五版』『類語選びの辞典』ほか。

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[2010/02/03]
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