■ 和柄・和の模様・和のデザイン〔格子〕
〔格子〕目次
■格子縞(こうしじま) ■碁盤格子(ごばんごうし) ■弁慶縞(べんけいじま) ■童子格子(どうじごうし) ■微塵格子(みじんごうし) ■二筋格子(ふたすじごうし) ■三筋格子(みすじごうし) ■四筋格子(よすじごうし) ■味噌漉格子(みそこしごうし) ■千鳥格子(ちどりごうし) |
格子縞(こうしじま)
縦縞と横縞を直角に組み合わせて四角い升目(ますめ)が連続する模様。チェック。格子。 「格子」は細い角材を縦横に間を空けて組んだ、窓や戸につける建具(たてぐ)。 江戸時代には、升目の縦と横の幅が等しい正方形の格子縞を「碁盤縞(ごばんじま)」と呼び、升目が縦方向に細長い長方形の格子縞を「格子縞」と呼んで区別した。それ以前は「碁盤縞」を「格子縞」と呼んでいた。 現代では碁盤縞、弁慶縞、小格子などすべての格子縞を総称して「格子縞」と呼ぶ。 《構成要素》 格子縞 (No.017:2006/06/08) |
碁盤格子(ごばんごうし)
碁盤の目のように、縦横同じ幅の升目(正方形)を並べた格子縞。碁盤縞(ごばんじま)。碁盤。 《構成要素》 格子縞、正方形 (No.018:2006/06/15) |
弁慶縞(べんけいじま)
「弁慶格子(べんけいごうし)」とも言う。 2色の色糸を使い、2色の幅が同じ碁盤格子(縦縞と横縞の幅が同じ)で、縞の幅が約1cm以上ある大柄な格子縞。 縦横の縞が交差する部分は、色が重なって濃くなっている。 歌舞伎十八番「勧進帳」に出てくる、山伏姿の弁慶の舞台衣装にちなんだ名称。 色は白と紺、紺と茶、紺と浅葱(あさぎ/薄い藍色)など。 茶と紺を「茶弁慶」、紺と浅葱を「藍弁慶」という。 《構成要素》 格子縞、正方形、太縞 (No.019:2006/06/29) |
童子格子(どうじごうし)
太い筋のそれぞれの脇に、細い筋を1本添えた格子縞。 子持筋のある太い格子縞。 子持格子(こもちごうし)。 大江山に住んだという伝説の鬼・酒呑童子(しゅてんどうじ)の衣服の模様からついた名称。 また、少しおめでたい、お人よしで思慮が足りない、女性に甘い人物を「童子格子」と呼ぶ。これは、童子格子を描けるほど鼻の下を伸ばしただらしない顔をしているということによる。 《構成要素》 格子縞、太縞+細縞 (No.020:2006/07/06) |
微塵格子(みじんごうし)
非常に細かい格子模様。微塵縞(みじんじま)。微塵(みじん)。 狭義には、経(たて)・緯(よこ)共に2色の糸を2本おきに織り合わせた、極めて細かな格子模様。 江戸時代は「微塵縞」と呼んだ。 現代では万筋より細かい竪縞(たてじま)を「微塵縞」「微塵筋」ということもある。 ピン・チェック(pin check)。タイニー・チェック(tiny check)。 《構成要素》 細格子縞 (No.015:2006/05/25) |
二筋格子(ふたすじごうし)
同じ太さの筋が2本1組で縦横に並べられた格子縞。 《構成要素》 格子縞、細縞×2 (No.021-1:2006/07/13) |
三筋格子(みすじごうし)
同じ太さの筋が3本1組で縦横に並べられた格子縞。 これの変形に「三枡格子(みますごうし)(団十郎格子(だんじゅうろうごうし))」がある。 《構成要素》 格子縞、細縞×3 (No.021-2:2006/07/13) |
四筋格子(よすじごうし)
同じ太さの筋が4本1組で縦横に並べられた格子縞。 《構成要素》 格子縞、細縞×4 (No.021-3:2006/07/13) |
味噌漉格子(みそこしごうし)
「味噌漉縞(みそこしじま)」ともいう。 細い筋の細かい碁盤格子のところどころに、太い筋を縦横に配した格子柄。 太い筋の入る間隔は、すべて一定の場合と、不規則の場合がある。 「味噌漉し(みそこし)」は味噌を汁に溶かすときに使う調理道具。細い削り竹を編んでところどころ太い竹で補強してある。曲物(まげもの)の底に竹の簀(す)を張ったもの、細く削った竹で篩(ふるい)のように編んだもの、小さなざるに柄のついたものなどいろいろな形がある。 「味噌漉縞」は江戸末期の嘉永年間(1848年~1854年)に始まったらしい。 浅葱(水色)の地に紺色の縞模様の縮緬(ちりめん)や紬(つむぎ)が、婦人ものの袷(あわせ)や綿入れとして流行した。 「翁格子(おきなごうし)」ともいう。 太い筋の大きい格子の中に、細い筋の小さい格子をたくさん抱えている様子を、翁(お爺さん)が大勢の孫を抱えていることになぞらえ、子孫繁栄の意味を持つ。 《構成要素》 格子縞、細縞n+太縞1 (No.023:2006/08/10) |
千鳥格子(ちどりごうし)
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同じ量の2色の糸で織り出した、四角に突起のついたモチーフが並んだ模様。 英語では「ハウンズ・トゥース(hound's tooth/猟犬の牙)」という。 日本で言う「千鳥格子」は比較的新しい名称。和服ではあまり用いない。 モチーフの一つを「千鳥紋(ちどりもん/千鳥文)」に見立て、並んで飛ぶ千鳥の群れになぞらえた呼び名。 日本では古くは「利休間道(りきゅうかんとう)」と呼ばれた。 安土・桃山時代の茶人・千利休(せんのりきゅう/1522~1591)が好んで茶の湯の道具に用いたという。 「間道(かんとう)」は、縞、格子柄の織物。特に茶道での名物裂(めいぶつぎれ/中国渡来の貴重な古い布きれ)の縞物を称することが多い。 (No.083:2010/01/07) |