■ 和柄・和の模様・和のデザイン〔植物・花・葉〕
〔植物・花・葉〕目次
■氷梅(こおりうめ) ■槍梅(やりうめ) ■小桜(こざくら) ■桜散らし(さくらちらし) ■松葉散らし(まつばちらし) ■露芝(つゆしば) ■桜楓(おうふう) ■花勝見(はなかつみ) ■橘(たちばな) ■一つ茶の実(ひとつちゃのみ) ■遠州椿(えんしゅうつばき) new ■菖蒲革(しょうぶがわ) |
氷梅(こおりうめ)
いろいろな方向に向いた直線で不規則な氷の割れ目(氷裂文)を描き、丸い花びらの梅花を散らした模様。 梅花氷裂(ばいかひょうれつ)。 早春の風景をあらわす。 《構成要素》 花模様、直線 (No.071:2009/02/12) |
槍梅(やりうめ)
梅の枝を垂直に並べ、開いた花や丸いつぼみを散らした模様。 「立梅」とも言う。 《構成要素》 花模様、直線 (No.072:2009/02/26) |
小桜(こざくら)
5弁の花びらを持つ小さな桜の花を一面に散らした小紋柄。 《構成要素》 花模様、小紋 (No.073:2009/03/12) |
桜散らし(さくらちらし)
桜の花を散らした模様。 花の大きさを変えたり、花の向きをバラバラにしたり、花を重ねたり、花びらを散らすなどの変化を加える。 《構成要素》 花模様 (No.074:2009/03/26) |
松葉散らし(まつばちらし)
針状の松の葉を散らした文様。「こぼれ松葉」ともいう。 二本の直線を一方の端でつなげ、つなげた部分に小さい飾りをつけた模様。 江戸時代には松葉散らしの小紋は、将軍家のみが使える「留柄(定め小紋)」だった。 《構成要素》 植物 (No.079:2009/06/11) |
露芝(つゆしば)
中央の少し膨らんだ三日月形の曲線を散らして芝草の野原とし、ところどころに大小の点を置いて露(水滴)に見立てた模様。 夏の野原の情景を描いた文様で、基本的に夏物のきものに使われる。 《構成要素》 曲線、丸、散らし (No.065:2008/10/23) |
桜楓(おうふう)
桜の花と楓(かえで/紅葉)の葉を混ぜて散らした植物文様。 桜は春、楓は秋の象徴。 季節を問わず使えるので着物の柄などに便利。 《構成要素》 植物、桜(花)、楓(紅葉) (No.082:2009/10/15) |
花勝見(はなかつみ)
波状の藻草が縦横に配置され曲線の格子になった中に、花菱が置かれた模様。 また、藻草は縦だけ曲線状に描き、枝を伸ばして格子状に見せかけ、その中に花菱を配置した模様もある。 「花勝見(はなかつみ/はながつみ)」は水辺の草の名で、それを文様化したもの。 具体的にどんな植物かわからず、イネ科のマコモ(真菰)、野生のハナショウブなど諸説がある。 江戸の歌舞伎役者で舞の名手と言われた、三代目坂東三津五郎(1775~1831)が花勝見文の衣装を着て、江戸の女性にも流行した。 《構成要素》 植物文様 (No.089:2010/10/21) |
橘(たちばな)
橘の果実と葉をとりあわせて左右対称に描いた文様。 中央が果実で、後ろの3枚と下の2枚が葉。 橘(たちばな)は日本原産の柑橘類の一種。 常緑樹で葉は小形の楕円形で香気を有す。夏、白色5弁の花を開き芳香を放つ。果実は小さな扁球形で6グラム内外。果皮は黄色となる。皮はむきやすいが果肉は酸味が強く、生食できない。 または、コウジ・コミカンなど食用柑橘類の古名。非時香菓・非時香木実(ときじくのかくのこのみ)。不老長寿の薬とされた。 《構成要素》 植物文様、果実、葉 (No.122:2015/05/01) |
一つ茶の実(ひとつちゃのみ)
茶の実と葉をとりあわせて左右対称に描いた文様。 上が実で、下の2枚が葉。実の頭は3つに分かれている。実の中に3つの種が入っている。 茶(チャ)はツバキ科の常緑樹。中国南西部の温・熱帯原産。葉を加工させて飲料にする。 葉は長楕円形で厚く表面に光沢がある。秋に、椿に似た小ぶりの一重の白い花を咲かせる。5枚の花びらの中央に黄色い雄しべが密集する。果実は蒴果(さくか)で、開花の翌秋に成熟し、通常3個の種子を内蔵する。種子は指先ほどの大きさのつぶれた丸形(1cmくらい)。 ※蒴果(さくか)……子房の発達した乾性の果実。複数のしきり(室)に分かれていて、熟すると裂けて種が出てくる。 《構成要素》 植物文様、果実、葉 (No.123:2015/05/08) |
遠州椿(えんしゅうつばき)
植物模様の一種。 ツバキの花を簡略化した文様。 軍配のようなくびれのある長円形の花びらを左右に並べ、中央に細い線を並べめしべを表現し、花の下に2枚の葉を配する。 江戸初期の大名茶人・小堀遠州(こぼり・えんしゅう)が好んだ柄と言われる。 椿(ツバキ)はツバキ科の常緑高木・低木の総称。葉は長円形で厚くつやがある。春に一重または八重の、紅・白・桃色・まだらの美しい花が咲く。 春を告げる華やかで美しい花として日本で古くから好まれ、染織品や工芸品や陶磁器などの意匠に用いられた。 しかし、花が一輪まるごと落ちる様子が不吉とされ武士に嫌われ、家紋にはあまり使われない。 茶(チヤ)もツバキ科の常緑樹なので、ツバキと茶道はつながりが強い。 《構成要素》 植物模様、花 (No.132:2017/03/17) |
菖蒲革(しょうぶがわ)
植物模様の一種。 花をつけた菖蒲を意匠化した文様。 葉を山形になるように左右対称に並べ、中央の茎の上部に十字のような花をつける。 「菖蒲革(しょうぶがわ)」は藍色または緑色の地色に白い模様を染め出した、鹿のなめし皮。 「尚武」「勝負」と音が通ずることから、縁起がよいとして武具に用いた。 そのために文様名に「革」がつく。 菖蒲以外の文様の菖蒲革もある。 のちには小紋染めの革の総称。 菖蒲革の模様を染めた布地は、下級武士、足軽などの袴地(はかまじ)などに用いた。 菖蒲(しょうぶ)はさといも科の常緑多年生植物。水辺に生え、全体に芳香があり、葉が剣状で、初夏に黄緑色の小花が円柱状の穂になって咲く。 古くから邪気を払うものと言われ、端午(たんご)の節句に軒にさしたり湯に入れて入浴したりする風習がある。 古くは「あやめ」と呼んだが、アヤメ科のアヤメ(菖蒲)・ハナショウブ(花菖蒲)の類とは葉の形が似るだけで、全くの別種。 《構成要素》 植物文様、花、葉 (No.128:2016/09/02) |