文房具・画材《パステル・クレヨン》
パステル・クレヨン(Pastels and Crayons)
棒状の乾性固形絵具の仲間。筆やパレットを使わず直接紙に描ける。
顔料を固める粘着剤(メディウム)の種類や量により、パステル(ソフトパステル・ハードパステル・オイルパステル)、クレヨン、コンテに分けられる。
《関連ページ》
日本工業規格(JIS)におけるクレヨン・パスの色名と色見本/
パステル
乾性固形絵具の一種。
粉末顔料に白粘土をまぜ、アラビアゴムなどの粘着剤(メディウム)で棒状に固めたもの。
粒子が細かく、不透明。
ソフトパステルとハードパステルがある。
粘着剤が少なく、やわらかくぼかせるのが「ソフトパステル」。
粘着剤がやや多く、細かい硬い線や点描が描けるのが「ハードパステル」。
ほかに、顔料をワックスと油で練った「オイルパステル」がある。
現在の日本のクレヨンは元来のワックス(蝋)の他に油も混ぜているためオイルパステルとの区分があやふやになっている。
「サクラクレパス」はオイルパステルの一種である。
パステルの長所は、顔料以外のメディウムが少ないので、顔料そのものの鮮やかな発色が得られる。
乾燥したまま着色できるので、絵具そのものと作業中の絵と仕上がりの絵色の違いがない。
短所は、粘着剤が少ないので紙に定着しにくい。仕上げにフィクサチーフ(固着剤)をかけたり、保護紙をかけて絵具が落ちないように注意する。
パレット上で混色できないので、紙の上で重ね塗りしたり混ぜたりする。混色ができないので、色数を多く揃えておかないと思った色が出せない。
使い方
(1) パステルそのものを紙にこすりつける。
(2) パステルを削って粉にして、指先・擦筆(さっぴつ)・スポンジ・ティッシュなどでこすりつける。
クレヨン
乾性固形絵具の一種。
クレヨンは本来は顔料を固形ワックス(蝋)で練り固めた硬い固形絵具である。
現在の日本製のクレヨンにはなめらかに描きやすいよう、顔料と固形ワックス以外に体質顔料と液体油も混ぜて軟らかめにできている。
色が鮮やかで取り扱いが簡単なため、園児・学童などが図画用に用いる。
混色がしにくい、細かい描写に向かないため専門家向けではない。
フランス語で「crayon」は棒状の筆記具の総称。鉛筆からパステル・コンテ・チョークの類をさす。
「crayon」の一種「クレヨン・パステル(crayon pastel, パステル鉛筆)」を英語で「クレヨン」 (crayon) と呼ぶのが日本に伝わる。
株式会社サクラクレパスの登録商標「クレパス」は、パステルの発色の良さとクレヨンの定着性のよさの特徴を併せ持つ画材。クレヨン製品は同社には別に「サクラクレヨン」があり、同社の公式サイトでは、クレパスの一般名称は「オイルパステル」としている。
コンテ(cont)
乾性固形絵具の一種。
鉛筆と木炭の中間の柔らかさで、濃淡も容易に出せるクレヨンの一種。デッサン・クロッキーに適する。
フランスの化学者コンテ(N.J.Cont/1755-1805)が発明。
パステル・クレヨンを扱う主なメーカー
《ホルベイン工業》
〔日本〕
▽ホルベイン アーチストソフトパステル(専門家用ソフトパステル)
▽ホルベイン アーチストオイルパステル(専門家用オイルパステル)
《サクラクレパス》
〔日本〕
▽クレパス太巻(学童向けオイルパステル/円筒形)
▽ニュークレパス角型(学童向けオイルパステル/角形)
▽クレパス スペシャリスト(専門家向けオイルパステル/角形)
《ヌーベル》
〔日本〕
▽ヌーベル カレーパステル(ハードパステル/角形)
《ぺんてる》
〔日本〕
▽ぺんてるくれよん(学童向けクレヨン)
《ターレンス》
〔オランダ〕
▽レンブラント ソフトパステル(専門家向けソフトパステル)
《シュミンケ》
〔ドイツ〕
▽シュミンケ ソフトパステル(専門家向けソフトパステル)
《ファーバーカステル》
〔ドイツ〕
▽ポリクロモスパステル(セミハードパステル)
▽ゴールドファーバーソフトパステル(ハーフサイズソフトパステル)
▽ゴールドファーバーオイルパステル(オイルパステル)
《デーラー・ラウニー》
〔イギリス〕
▽ラウニー・アーティスト・ソフトパステル(専門家向けソフトパステル)
《セヌリエ》
〔フランス〕
▽セヌリエ オイルパステル (専門家向けオイルパステル)
パステルに関する書籍
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