■ 和柄・和の模様・和のデザイン〔縞〕
〔縞〕目次
■棒縞(ぼうじま) ■子持縞(こもちじま) ■両子持縞(りょうこもちじま) ■滝縞(たきじま) ■両滝縞(りょうたきじま) ■鰹縞(かつおじま) ■金通縞(きんつうじま) ■三筋立(みすじだて) ■大名縞(だいみょうじま) ■千筋(せんすじ) ■万筋(まんすじ) ■刷毛目(はけめ) ■矢鱈縞(やたらじま) ■よろけ縞(よろけじま) ■だんだら縞(だんだらじま) |
棒縞(ぼうじま)
太い筋の縦縞(たてじま)。 ボールド・ストライプ。 《構成要素》 縦縞、太い (No.003:2006/01/26) |
子持縞(こもちじま)
太い線と細い線が一組になって繰り返す縞模様。「親子縞」とも言う。 英語では「シックンシン・ ストライプ(thick and thin stripe)」。 (thickは太い、thinは細い) 太い線の片方の脇に細い線を1本添えた縞を、とくに「子持縞(片子持縞)」と呼ぶ。 《構成要素》 太縞1+細縞1 (No.007:2006/03/22) |
両子持縞(りょうこもちじま)
太い線の両脇に細い線を1本ずつ添えた縞模様。 《構成要素》 細縞1+太縞1+細縞1 (No.008:2006/03/29) |
滝縞(たきじま)
太い筋から次第に細い筋になっている平行縞の繰り返し模様。 カスケード・ストライプ (cascade stripe)。 特に、太い縞の片側だけだんだん細くなる縞は、片滝縞(かたたきじま)、 シェイデッド・ストライプ(shaded stripe)という。 ※カスケード……小さな滝、階段状滝。 ※シェイデッド……陰影をつけた、濃淡をつけた。 《構成要素》 太縞から細縞のグラデーション (No.009:2006/04/05) |
両滝縞(りょうたきじま)
太い筋から次第に細い筋になっている平行縞の繰り返し模様「滝縞」の中で、 太い縞の両方向にだんだん細くなるもの。 カスケード・ストライプ (cascade stripe)。 ※カスケード……小さな滝、階段状滝。 《構成要素》 太縞から細縞のグラデーション (No.010:2006/04/19) |
鰹縞(かつおじま)
濃い色から薄い色への変化を繰り返す平行な縞模様。 片滝縞の変種。 鰹(かつお)の体色が背から腹にかけてだんだん薄くなる様子から命名。 鰹をイメージさせる明るい青色系の色を使うことが多い。 《構成要素》 濃色から淡色のグラデーション、繰り返し (No.048:2007/10/25) |
金通縞(きんつうじま)
平行に並んだ細い2本の筋を組にして、一定間隔を置いて並べた縞模様。 ダブル・ストライプ (double stripe)。 「金通し(きんどおし)」とも言うが、 現代では「金通し」とは、織物の緯糸(たていと)に金糸(きんし)を織りこんだ 《錦(にしき)、金襴(きんらん)》の類を指す場合が多い。 《構成要素》 細縞×2 (No.011:2006/04/26) |
三筋立(みすじだて)
3本の筋を組にして、一定間隔を置いて並べた縞模様。 トリプル・ストライプ (triple stripe)。 江戸時代は「三筋竪」とも書いた。 《構成要素》 細縞×3 (No.012:2006/05/04) |
大名縞(だいみょうじま)
地の幅に対して縞が細い竪縞(たてじま)模様。 「大明縞(だいみょうじま)」「大名筋(だいみょうすじ)」ともいう。 縞糸2本に対し地糸6本を配したものを「四っ目大名」と呼ぶ。 これは織物が経糸(たていと)二本をまとめて「一羽(ひとは)」と呼ぶことから、四羽で一組の繰り返し模様ということだろう。 基本は紺地に白縞、または白地に紺縞。 《構成要素》 細縞 (No.031:2006/10/19) |
千筋(せんすじ)
筋が千本もあるような、非常に細かい縞模様。 狭義には、経糸(たていと)2本と、違う色の地糸4本を交互に配列した竪縞(たてじま)。 ピン・ストライプ(pin stripe)。 《構成要素》 細縞 (No.013:2006/05/10) |
万筋(まんすじ)
千筋よりもさらに細かい縞模様。 狭義には、濃淡2色の経糸(たていと)を2本ずつ交互に配列した竪縞(たてじま)。 織物で経糸二本をまとめて「一羽(ひとは)」と呼び、一羽ごとに色を変えた竪縞のこと。 万筋よりさらに細かい縞模様を「微塵筋(みじんすじ)」と呼ぶこともある。 参考:微塵格子 ピン・ストライプ(pin stripe)。 《構成要素》 細縞 (No.014:2006/05/17) |
刷毛目(はけめ)
非常に細かい縞模様。万筋よりも細かい。刷毛目縞(はけめじま)。 狭義には、経(たて)・緯(よこ)共に2色の糸を1本おきに配列し、おのおの1糸ずつ交互に打ち込んで平織りにした細い縞。 表が縦縞、裏が横縞になる。 ヘアライン・ストライプ(hairline stripe) 髪の毛のように細い縞柄。 《構成要素》 細縞 (No.016:2006/05/31) |
矢鱈縞(やたらじま)
「やたら縞」とも書く。 筋の広狭や色糸の配列順などが不規則な縞模様。 ランダム・ストライプ(random stripe)。 「やたら」は「みだり、むやみ、何事にも節度がない」という意味の江戸ことば。 「矢鱈」は当て字。 江戸後期の天保年間(1830年~1844年)、女用の黒地・鼠地の縮緬の矢鱈縞が江戸で大流行する。 《構成要素》 縞、不規則 (No.025:2006/08/31) |
よろけ縞(よろけじま)
「蹣跚縞(よろけじま)」とも書く。 波状にうねった縞模様。 「蹣跚織(よろけおり)」という特殊な織物、または型染めによる柄模様。 「蹣跚織(よろけおり)」は、特殊な筬(おさ)を用いて経(たて)または緯(よこ)の糸を湾曲させて、織物の表面に波状の縞模様を織り出したもの。緯糸を湾曲させたのを「緯よろけ織」、経糸を湾曲させたのを「経よろけ織」という。 ひょうたん(ひさご)のような曲線から「ひさご織」、ひさごが旗印の太閤秀吉から「太閤織」とも言う。オンジュール織。 参考:立涌 《構成要素》 縞、曲線 (No.026:2006/09/06) |
だんだら縞(だんだらじま)
布の横筋を違った色に染めた模様。地色と筋が同じ太さの横縞(よこじま)。 ボーダーストライプ。ボーダー柄。 布に織り上げてから染めた後染めと、横縞を違う色の糸を替えながら織った先染めがある。 「段だら縞」「段々縞」「段段縞」「だんだら染め」「段染め」「だんだら筋」ともいう。 「だんだら(段だら)」とは、段が幾つもあること。「段斑(だんまだら)」の略。段々。段段。 古くは「取り染(とりぞめ)」。江戸時代、京阪(上方)で「だんだら染」と呼んだ。江戸では「手綱染(たづなぞめ)」と呼んだ。これは馬の手綱によく使う柄なので。 古い時代の「取り染」は多くの色を使ったが、だんだら染は白地藍筋同じ太さの横縞が一般的。縞の太さはいろいろあり。 江戸時代後期(「守貞謾稿」より三、四十年前、1800年ごろ)、だんだら染の木綿が民間の旅客の上締帯に用いられた。白地藍筋の藍染の木綿を幅4つ5つに折って縫わずに上締めにした。二、三十年後には小倉帯に取って代わられる。 (小倉帯は小倉織の帯。経糸(たていと)を密にし、緯糸(よこいと)を太くして博多織のように織った縦縞の綿織物。商人や職人の男帯として用いられた。) 「だんだら模様」というと、新撰組の隊服の袖口の飾りに使われたような山形を並べた模様で、「だんだら縞」とは別物。 山形模様を「だんだら」と呼んだのは、上方の人が横縞を「だんだら」と呼ぶのを江戸出身の新撰組が「段段の模様」と勘違いしたかららしい。 元来「だんだら染」は横縞のことだが、現代では誤って山形模様をさす場合が多い。 ◇『近世風俗志(三)〈守貞謾稿〉』岩波文庫 P158 「取り染」の項参照。 《構成要素》 横縞 (No.042:2007/05/31) |