■ 和柄・和の模様・和のデザイン〔丸・円・曲線〕
〔丸・円・曲線〕目次
丸・円 | |
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■七宝(しっぽう)> ■七宝繋ぎ(しっぽうつなぎ) ■星七宝(ほししっぽう) ■青海波(せいがいは) |
■一つ巴(ひとつどもえ) ■二つ巴(ふたつどもえ) ■三つ巴(みつどもえ) NEW |
曲線 | |
■観世水(かんぜみず) ■立涌(たてわく) ■網目(あみめ) ■分銅繋ぎ(ふんどうつなぎ) |
■徳利網代(とっくりあじろ) new ■ヱ霞(えがすみ) |
■円・丸
七宝(しっぽう)
正円の内側に沿って、両端のとがった楕円形をつないだ模様。 同じ大きさの円を四分の一ずつ重ねた形。 有職文では「輪違(わちがい)」と呼ぶ。(家紋としての「輪違」は2つの円を横にずらして重ねた形) 連続模様にすると「七宝繋(しっぽうつなぎ)」。 仏典でいう七つの宝(金・銀・瑠璃・玻璃・珊瑚・瑪瑙・シャコ)を形どったともいわれるが明らかではない。 円形が「円満」を表し、吉祥文様として用いられる。 平安時代以来の伝統ある模様で、室内装飾、食器、衣料等に応用される。 《構成要素》 幾何学文様、円、曲線 ▽七宝(しっぽう)の作図方法(ペイント) (No.126:2016/03/31) |
七宝繋ぎ(しっぽうつなぎ)
同じ大きさの円の円周を四分の一ずつ重ねてつないでいく幾何学文様。 両端のとがった長楕円形をつなぎ合せて斜めに交差させた連続模様になる。 円1個分を「七宝」と称し、家紋などに使われる。 「七宝」とは仏教の七種類の宝物(内訳は諸説あり)のこと。 《構成要素》 幾何学文様、円、連続 (No.005:2006/03/08) |
星七宝(ほししっぽう)
「七宝繋ぎ」の部品のつなぎ目に、小さい円を重ねた連続模様。 「星」の名称は、日本では古来から星を丸で表すことによる。 《構成要素》 円、連続 (No.070:2009/01/29) |
青海波(せいがいは)
海の波のうねりをかたどった抽象模様。 同心円(どうしんえん/中心を共有する二つ以上の円)の一部が重なって、扇状の模様が連続して見られる。 吉祥模様の一つ。 雅楽「青海波」の舞人の装束の模様に定められている。 《構成要素》 同心円、扇状、連続 ※画像作製参照『Photoshop10分間パターンデザイン』古岡ひとみ〈MdN〉 (No.024:2006/08/23) |
一つ巴(ひとつどもえ)
外へめぐるうずまき形の模様。頭が丸く、尾が細くなる。 鞆(とも)の側面を図案化した文様。 または、水が渦巻いている様子を表す文様。 勾玉(まがたま)に似た形で、神霊のシンボルとして神社関係に使われる。 丸くふくれた部分を「首」、細い部分を「尾」と呼ぶ。 「ともえ」は「鞆絵・巴」とも書く。 「巴」は頭の大きな蛇をかたどった象形文字。漢字の形から、うずまきの意味に用いる。 一つの図柄に1~3個の巴を配し、数によって一つ巴・二つ巴・三つ巴などという。 紋所としては、巻き方の向きにより左右の別がある。 頭が時計回りに向かうのが「左巴」、頭が逆時計回りに向かうのが「右巴」。 (左右の向きについては反対の説もある) ☆見本図は「左一つ巴」。 ▼とも【鞆】 弓を射る時に左手首に着ける、まるい革製の防具。弓の弦が手首に触れるのを防ぐ。弦が当ると音を発する。現代の弓道では使わない。 《構成要素》 円、うずまき模様 《関連記事》 一つ巴(ひとつどもえ)/家紋の描き方006@夏貸文庫 (No.129:2016/11/08) |
二つ巴(ふたつどもえ)
紋所の名。うずまき形を二つ、円内にそって互い違いに組み合せたもの。 丸い頭の部分が時計回りに向かうのが「左二つ巴」、頭が逆時計回りに向かうのが「右二つ巴」。 「巴紋(ともえもん)」については「一つ巴」参照。 ☆見本図は「左二つ巴」。 《構成要素》 円、うずまき模様 《関連記事》 二つ巴(ふたつどもえ)/家紋の描き方007@夏貸文庫 (No.130:2016/12/01) |
三つ巴(みつどもえ)
紋所の名。巴を三つ組み合せて尾を同方向にめぐらしたもの。 丸い頭の部分が時計回りに向かうのが「左三つ巴」(尾が左に流れる)、頭が逆時計回りに向かうのが「右三つ巴」。 「巴紋(ともえもん)」については「一つ巴」参照。 ☆見本図は「左三つ巴」。 ふくれた丸い頭の部分を「首」、細い部分を「尾」と呼ぶ。 首の部分の丸が、上1つ下2つの三角形になる並びが正しい上下位置。 「紋章で、三つの形が集まったとき、必ず一つが上になることが原則とされています。」(『卍の魔力、巴の呪力』泡坂妻夫/新潮選書) 《構成要素》 円、うずまき模様 《関連記事》 三つ巴(みつどもえ)/家紋の描き方007@夏貸文庫 (No.131:2017/03/04) |
■曲線
観世水(かんぜみず)
横に細長い渦を巻いた水流を上下左右に並べた模様。 流水文(数条の平行線によって流水をかたどった模様)の一種。 観世大夫の定式紋だったところから名づけられた。 観世水文(かんぜみずもん)。観世水(かんぜすい)。 観世大夫(かんぜだゆう)は能楽の観世座の長。すなわち、観阿弥を祖とするシテ方観世流の家元のことである。 観世水は桃山時代から江戸時代にかけて大流行した。 また江戸後期の文化5年(1808)、人気歌舞伎俳優の沢村源之助(のちの四代目沢村宗十郎)が観世水を一面に描いた舞台衣装を着たことでこの柄が流行した。 《構成要素》 流水文 (No.041:2007/04/26) |
立涌(たてわく)
「立湧」とも書く。 「たてわき」「たちわき」とも読む。 向かい合わせの2本の波形の曲線が、中央はふくれ両端はすぼまった形を交互に上下に連続し、それを横に並列させた連続模様。 有職(ゆうそく)文様の一種で、公家装束の織文や能装束に多く用いた。 雲の湧(わ)き上がる状態、または水蒸気がゆらゆらと立ち涌いて昇っていく様子を見立てた文様という。 ふくらんだ空間に雲・菊・笹・躑躅(つつじ)などを描いたものを、雲立涌・菊立涌・笹立涌・躑躅立涌などという。 《構成要素》 縞、曲線、左右対称、連続 (No.027:2006/09/14) |
網目(あみめ)
「網目文」とも言う。 漁業用の網を広げた状態を意匠化した文様。 「網目(網の目)」は網に編んだ糸のすき間の部分。 波形の曲線が、波の山の部分で他の曲線と接する連続模様。 浴衣や手ぬぐい、陶器の地紋によく用いられる。 魚や海老、蛸など魚介類と組み合わせる図柄が多い。 《構成要素》 縞、曲線、連続模様 (No.028:2006/09/21) |
分銅繋ぎ(ふんどうつなぎ)
波形の曲線を斜めに交差させた連続模様。 並行する2本の辺はふくらみ、それに交差する辺はくびれている。 線に囲まれた桝目を、秤(はかり)で物の目方を量る時に使う重りの「分銅(ふんどう)」に見立てたる。 分銅は「宝尽くし」に含まれる伝統的な吉祥文様でもある。また現代日本の地図記号では「銀行」を表す。 《構成要素》 曲線、斜め、交差、連続模様 (No.040:2006/04/05) |
徳利網代(とっくりあじろ)
正円の4分の1の曲線から構成される連続模様。 構成する要素の一つを、首が細く胴体が丸みを帯びた日本酒の「徳利」に見立て、網代(桧垣)のように斜めに互い違いに組み合わせた幾何学模様。 「分銅繋ぎ」の変形。 オリジナルデザインは泡坂妻夫氏。 《構成要素》 正円、曲線、連続 《関連項目》 網代(檜垣)/分銅繋ぎ 《参考文献》 『家紋の話 -上絵師が語る紋章の美-』 泡坂妻夫〈新潮選書〉P301 (No.076:2009/05/14) |
露芝(つゆしば)
中央の少し膨らんだ三日月形の曲線を散らして芝草の野原とし、ところどころに大小の点を置いて露(水滴)に見立てた模様。 夏の野原の情景を描いた文様で、基本的に夏物のきものに使われる。 《構成要素》 曲線、丸、散らし (No.065:2008/10/23) |
ヱ霞(えがすみ)
横に細長い角丸をヱ(エ)の字のように繋げた模様。 「エ雲(えがすみ)」「ヱ雲(えくも)」ともいう。 霞または雲のかかった風景を、形式的な文様にしたもの。 絵巻では、時の推移や距離のある場所を暗示するなど、場面転換に用いられる手法。 きものの文様では、ぼかしや模様の区切り部分に応用される。 《構成要素》 角丸、ヱ(エ)の字、風景 (No.066:2008/11/13) |