■ 和柄・和の模様・和のデザイン〔光琳模様〕
〔光琳模様〕目次
★光琳模様について ■光琳梅(こうりんうめ) ■光琳梅鉢(こうりんうめばち) ■光琳松(こうりんまつ) ■光琳一つ根松(こうりんひとつねまつ) ■光琳桔梗(こうりんききょう) ■光琳爪形桔梗(こうりんつめがたききょう) ■光琳菊(こうりんぎく) ■光琳桐(こうりんきり) ■光琳片喰(こうりんかたばみ) ■光琳鉄線(こうりんてっせん) ■中陰光琳蔦(ちゅうかげこうりんづた) ■太陰光琳蔦(ふとかげこうりんづた) ■光琳二つ茶の実(こうりんふたつちゃのみ) new ■光琳鶴の丸(こうりんつるのまる) ■六角光琳鶴(ろっかくこうりんつる) ■光琳亀(こうりんかめ) ■光琳揚羽蝶(こうりんあげはちょう) ■光琳胡蝶(こうりんこちょう) ■千鳥(ちどり) ■光琳洲浜(こうりんすはま) |
光琳模様について
花や鳥など自然のモチーフを単純化した文様。
モチーフのシルエット(輪郭)を強調しユーモアを感じさせる。
尾形光琳の画風を真似たといわれる。
「光琳文様」とも言う。
尾形光琳(おがた・こうりん)は江戸時代前期の画家・工芸家(1658‐1716)。
京都の呉服商に生まれる。初め狩野風の絵を学び、やがて本阿弥光悦・俵屋宗達の装飾画風に傾倒して、大胆で華麗な画風を展開する。
蒔絵や染織など工芸の分野にも卓抜な意匠(光琳風・光琳模様)を残した。
彼の晩年に「光琳模様」として、その画風をアレンジした文様が大流行した。光琳自身の作品ではなく、他人が勝手に作った「光琳風」デザインである。
光琳梅(こうりんうめ)
光琳模様の一種。 やや平らになった、丸い5弁の花の輪郭の中央に、上弦の月のような細い弓形を配して蕊(しべ)を表現する。 《構成要素》 植物文様 (No.090:2010/11/04) |
光琳梅鉢(こうりんうめばち)
光琳模様の一種。 5枚の丸い花弁が中央の丸にゆるやかに接する形。 紋所の「梅鉢」のシルエットをかたどった模様。 「梅鉢」は梅の花弁を丸い形に省略化し、花芯を大きくして太鼓の撥(ばち)のように見せた模様。 《構成要素》 植物文様 (No.102:2012/02/04) |
光琳松(こうりんまつ)
光琳模様の一種。 曲線を描いた笠松(かさまつ)を単純化した模様。 山形になった松の葉を笠(額に印の入った陣笠)に、枝を笠の紐に見立てる。 《構成要素》 植物文様 (No.091:2010/11/18) |
光琳一つ根松(こうりんひとつねまつ)
光琳模様の一種。 1本の松の木を単純化した模様。 上部は広がった枝に葉が生い茂った様子、下部は松の幹と根。 家紋「一つ松」は上部に筋状の模様が入り、下部に木の皮の模様が入る。 ▽関連記事 和柄 091:光琳松(こうりんまつ) 《構成要素》 植物文様 (No.105:2012/11/01) |
光琳桔梗(こうりんききょう)
光琳模様の一種。 桔梗文を単純化した模様。 先のとがった5枚の花びらをつなげて、中央部に5つの滴型の点を置いた花の形。 桔梗は秋の七草のひとつ。 花の形を平たく変形させ、中央にひとつの爪形の模様をつけた桔梗文は「光琳爪形桔梗」と呼ぶ。 《構成要素》 植物文様 《参照》 桔梗(ききょう)/家紋の描き方012@夏貸文庫 (No.093:2011/01/20) |
光琳爪形桔梗(こうりんつめがたききょう)
光琳模様の一種。 先のとがった5枚の花びらをつなげてやや平らに変形させ、上弦の月のような細い弓形を配した花の形。 桔梗文を単純化した模様。 もしくは「光琳梅」の花びらの先をとがらせた形。 桔梗は秋の七草のひとつ。 「光琳桔梗」は先のとがった5枚の花びらをつなげて、中央部に5つの滴型の点を置いた花の形。 《構成要素》 植物文様 《参照》 桔梗(ききょう)/家紋の描き方012@夏貸文庫 (No.094:2011/01/27) |
光琳菊(こうりんぎく)
光琳模様の一種。 やや横に長い楕円を2枚少しずらして重ね、上の楕円の中央に下弦の月のような細い弓形または小さい丸を配した花の形。 菊の花を単純化した模様。 丸い形が饅頭(まんじゅう)に似ていることから「饅頭菊」、縁起のよい漢字を当てはめて「万寿菊(まんじゅぎく)」とも呼ぶ。 一般的な菊文は、先の丸い細い花びらが放射状に広がった、丸い花の形。変形が多い。 秋の花。 奈良時代に薬として中国から日本に伝わり、古くから不老長寿の象徴とされる。 《構成要素》 植物文様、楕円 (No.095:2011/02/24) |
光琳桐(こうりんきり)
光琳模様の一種。 「五三桐」の葉や花の描線を単純化させて丸で表現した模様。 「五三桐(ごさんのきり)」は葉脈入りの3枚の葉の上に、中央の枝に5つの花、両脇の枝に3つの花がついた桐紋のこと。 3枚の葉の上に、中央の枝に7つの花、両脇の枝に5つの花がついた桐紋は「五七桐(ごしちのきり)」という。 桐紋はもともと皇室の紋だったが、足利氏や豊臣氏などの臣下に下賜され、さらにその部下に分けられたため一般に広まり、さまざまな変種が作り出された。 《構成要素》 植物文様 (No.099:2011/08/28) |
光琳片喰(こうりんかたばみ)
光琳模様の一種。 片喰(かたばみ)紋を単純化した模様。なだらかな山形にゆがんだ花形の中心に3つの飾りがついたもの。 片喰紋はカタバミの葉を図案化した文様。 ハート型を放射状に3枚並べ、中央の円から3方向に小さい剣形の飾りが入る。 《構成要素》 植物文様 《参照》 片喰(かたばみ)/家紋の描き方010@夏貸文庫 (No.101:2011/12/07) |
光琳鉄線(こうりんてっせん)
光琳模様の一種。 先のとがった6枚の花びらをつなげて、中央部に6つの滴型の点を放射状に置いた花の形。 テッセンの花をかたどった文様。 テッセン(鉄線)はキンポウゲ科の落葉蔓草。中国原産で江戸時代(寛文年間)に日本に渡来。初夏、葉腋から出た長い柄に、径5~8センチの花を単生。大きな白色または淡青紫色の6枚のがく片を花弁状に平開する。雄しべは暗紫色。園芸品種が多い。観賞用。 テッセンやカザグルマなどから改良されたキンポウゲ科の園芸品種がクレマチス。 中国名:鉄線蓮。蔓(つる)が強いことから。 《構成要素》 植物文様 《関連事項》 光琳桔梗(こうりんききょう) 光琳鉄線に似た形で、花弁が5枚の文様。 (No.103:2012/05/03) |
中陰光琳蔦(ちゅうかげこうりんづた)
光琳模様の一種。 放射状に並べた5枚の葉を単純化させた模様。葉の付け根に丸をつける。 蔦紋は多くの種類がある。 蔦はつる性植物で他の植物に絡みつくことから「商売繁盛」「子孫繁栄」の願いをこめて家紋として好まれた。 代表的な蔦紋は5枚の葉を、手前に1枚、左右に2枚づつ配する。葉の周囲が波打っていて葉脈が描かれている。 蔦紋の葉脈をなくして、輪郭線で描いた文様が「中陰蔦」。 「中陰光琳蔦」は、中陰蔦から周囲の曲線をとって葉を滑らかな滴形にしたもの。 家紋の表現方法で、形を輪郭線で描いた文様を「陰紋(かげもん)」と呼ぶ。輪郭線が少し太いと「中陰(ちゅうかげ)」、もっと太くなると「中太陰(ちゅうぶとかげ)」「太陰(ふとかげ)」となる。 通常の、面で構成する家紋は「日向紋(ひなたもん)」「陽紋」などと呼ばれる。 《構成要素》 植物文様 (No.107:2013/05/30) |
太陰光琳蔦(ふとかげこうりんづた)
光琳模様の一種。 5つのふくらみのある葉を単純化させた模様。葉の中心に5つのしずく状の飾りがある。 「蔦紋」「陰紋」については「中陰光琳蔦」の説明を参考。 《構成要素》 植物文様 (No.108:2013/06/10) |
光琳二つ茶の実(こうりんふたつちゃのみ)
光琳模様の一種。 枝に茶の実を二つ付けた文様。 通常の「茶の実」は3つの山形の模様がついた上向きの実で、下にまっすぐな枝がついている。 「光琳二つ茶の実」は団扇型に三つの滴型の模様がついた下向きの実で、枝が曲がっている。 《構成要素》 植物文様 《関連記事》 一つ茶の実 通常の「茶の実」紋。 (No.127:2016/08/05) |
光琳鶴の丸(こうりんつるのまる)
光琳模様の一種。 羽を広げた鶴を背中から見た模様。顔は横向きで、翼の先を頭上で合わせて丸を描く。 通常の「鶴の丸」は翼の模様が複雑に描かれているが、「光琳鶴の丸」は模様を略し単純化している。 鶴は、中国や日本では長寿を象徴する瑞鳥として尊ばれる。 《構成要素》 動物文様 (No.092:2010/12/09) |
六角光琳鶴(ろっかくこうりんつる)
光琳模様の一種。 「光琳鶴の丸」の外周を六角形に変形させたバリエーション。 羽を広げた鶴を背中から見た模様。顔は横向きで、翼の先を頭上で合わせる。 《構成要素》 動物文様 (No.097:2011/05/23) |
光琳亀(こうりんかめ)
光琳模様の一種。 楕円形の甲羅から手足と頭と尻尾を出した亀の姿を、真上から見て単純化した文様。 亀は鶴と並んで長寿のシンボルとして、日本では古くからお祝いの文様に使われる。 多くの亀文は、実際の亀にはない耳と尾のついた想像上の動物「蓑亀」を図案化したもの。長生きして甲羅に藻(水草)を蓑のように生やしている。 《構成要素》 動物文様 (No.096:2011/03/31) |
光琳揚羽蝶(こうりんあげはちょう)
光琳模様の一種。 物にとまった揚羽蝶を斜め前から見た模様。 「光琳蝶(こうりんちょう)」とも言う。 翅(はね)をやや広げ、肢が何かにしっかりしがみついて、目を大きく開いている。 通常の「揚羽蝶」紋の翅が扇形に尖っているのに対して、光琳揚羽蝶の翅は丸みを帯びている。 蝶紋は変種が多く、揚羽蝶の翅の模様だけでもいろいろな種類がある。 《構成要素》 動物文様 (No.098:2011/08/21) |
光琳胡蝶(こうりんこちょう)
光琳模様の一種。 揚羽蝶を標本のように左右対称に翅(はね)を広げた姿を真上から見た模様。 「光琳飛蝶(こうりんひちょう)」とも言う。 眼が大きく、翅はやや丸みを帯びている。 蝶紋は変種が多く、揚羽蝶の翅の模様だけでもいろいろな種類がある。 翅を広げた姿の蝶紋は「胡蝶」と呼ばれる。 《構成要素》 動物文様 (No.104:2012/06/21) |
千鳥(ちどり)
光琳模様の代表的モチーフ。 羽を広げて群れを成して飛ぶ小鳥を単純化した模様。 千鳥はチドリ目チドリ科の鳥の総称。群れを成して多く飛ぶ冬の鳥。川辺や浜辺など水辺に群棲する。 光琳模様では千鳥を、波や浜など水辺のモチーフと組み合わせることが多い。 《構成要素》 動物文様 (No.100:2011/10/06) |
光琳洲浜(こうりんすはま)
光琳模様の一種。 洲浜紋(すはまもん)の輪郭をゆるやかにした模様。山形に配置した三つの丸の輪郭がゆるやかにつながった形。 光琳州浜。 「洲浜」とは海に突き出た州(堆積した土砂が水上に現れたところ)がある湾曲した浜。州浜。 洲浜の輪郭をかたどった曲線型の台を「洲浜台」といい、献上品や飾りなどを載せた。 洲浜紋は洲浜台をかたどった模様。2つのひょうたん型(丸を二つ重ねた形)の上部が一つに融合した形。台の脚がついた派生紋もある。 《構成要素》 曲線 (No.106:2013/03/02) |